Panndry パンとランドリー
第9回 コインランドリー店アワード2024 最優秀賞 受賞
- 住所
- 大阪市
他事業併設型(パン屋)
息子さんといっしょに環境への問題意識を考えていく中で、ランドリー業界へと辿りつき、「Panndry パンとランドリー」というかたちに昇華させた好事例です。地域の方々に心から共感いただくためには「独自のやり方をとるべき」と、いちから事業を設計しました。徹底的に環境と人の健康に配慮した、2つの事業。コンセプトが一貫していることで、強力なシナジー効果を生み、健康を気遣う人、悩みをもつ人にとって、なくてはならない存在になりました。TOSEIの機器は、徹底した環境配慮型の実現にも対応できる。今回は、新たなコインランドリーの可能性をご紹介します。
環境と人の健康に配慮したパン屋さん&コインランドリー
事業内容について、お話しください。
不動産の所有賃貸事業をメインでやっています。貸していた物件がちょうど空きになったことから、コインランドリー事業を検討しました。その過程で、コインランドリーだけではなく、パン屋さんを併設店舗として出店してはどうかという話になって、このかたちになった次第です。
多くの人がパン食の習慣をもっていますが、コインランドリーも同様で、この2つの事業は、どちらもサービス提供者への、日常的なニーズがあります。また、パン屋さんは有人店舗なので、ランドリーと兼務することで、双方のリソースを活用できる点にも着目しました。
そのうえで、ポストハーベスト(農薬)やグリホサート(除草剤)の人体への影響が懸念されている輸入小麦ではなく、国産小麦を100%使用したパンを提供することで、フードマイレージ削減に配慮することもでき、環境課題の改善や情報発信ができると考えました。
息子が環境問題にとても関心を寄せていて、いっしょに調べていくうちに、大きく洗濯業界全般が環境に大きく影響するということが見えてきました。コインランドリーを通して、洗剤・柔軟剤による水質汚染の問題を中心に社会に問いかけ、環境を配慮する新しい洗濯業界のあり方を発信できればいいなと考えました。
洗剤に徹底的にこだわり、柔軟剤不使用。プラスチック削減にも貢献
コインランドリーを通してどんなことに取り組んでいますか。
まずは使用する洗剤にかなりこだわった取り組みを行っています。加えて当店では、柔軟剤を使用していません。使用する洗剤を量り売りという形で提供し、プラスチックごみをできるだけ出さないよう、お客様にご協力をいただいています。
洗剤や柔軟剤等に含まれている合成香料や、その香りを長持ちさせるために使用されているマイクロカプセルといった物質(一次マイクロプラスチック)が影響して、水質汚染・大気汚染問題や、「香害(こうがい)」、さらにはアトピー性皮膚炎のような健康への悩みを
引き起こす原因にもなっています。
※ 香害とは:洗剤・柔軟剤、洗濯ビーズなどに含まれている合成香料やマイクロカプセルによって、アレルギー反応や喘息の発作などを引き起こす人が増え、新たな社会問題となっている。当店で実際に人にやさしく環境配慮型の洗剤で洗濯された方が、その仕上りを実感しご家庭用としても洗剤を購入いただく、というケースが非常に増えています。多くのお客様に、今までよりも気持ちよく洗濯ができるようになったと、言っていただき、環境配慮型の事業としてはじめてよかったと実感しているところです。
アレルギーや喘息など、健康に悩みをもつ方が遠方からも来店
オープンから集客に力を入れた点とは?
オープンのときは近隣に告知チラシのポスティングを一万部実施しました。それ以外ではメインのマーケティングとしてインスタグラムをオープン前からスタートさせています。フォロワーの方々が応援してくださっているので、効果はありますね。お客様は女性主婦層、とくに小さなお子様がいらっしゃるお母さんに向けた情報提供やコミュニケーションを、インスタグラムを中心に集客していまして、オープン前の収益シミュレーションよりは、十分プラスで推移しています。
ただ、洗濯乾燥機と乾燥機の稼働の比率は、シミュレーションとは全く違う結果になっています。コインランドリーの多くは、ご自宅でお洗濯されたものを乾燥機のみご利用いただくケースの方が多い中、当店では乾燥機への移香や店内および近隣への香りの拡散に配慮することから、柔軟剤等を使って洗濯したもののご利用をお断りさせていただいているため、乾燥機の稼働が非常に少なくなっているという経緯があります。
逆に、洗濯乾燥機の稼働については、アレルギーをお持ちの方、アトピーの方、喘息の方など、柔軟剤の人工的な香りに敏感な方々に多くご利用いただいているという傾向があります。そうしたお客様は、お布団や毛布などの大物もこまめにお洗濯される方が多いので、リピーターが非常にたくさんいらっしゃるというのが特徴です
コインランドリーの商圏は、おそらく広くても周囲2kmくらいの範囲だと思いますが、当店では10km、20km先からでも口コミをみてご来店になるお客様が増えているという事実があり、これは想定外でした。また、取りに来たときに洗濯物がしっかり乾いてる方がいいと、追加乾燥が必要になるのが面倒!というお声が多かったことから、デフォルトの設定から少し温度を高めにしています。通常30分という乾燥時間が35分になりますが、その分取りに戻られたときしっかり乾いています。お客様によろこんでいただいていることは、客単価の伸びに現れていると考えています。
パン屋さんのリソースを活用して、コインランドリーを有人化
パン屋との併設を考えた理由とは?
パン屋さんも、人体への影響が懸念されているポストハーベスト(農薬)やグリホサート(除草剤)が使われている輸入小麦は使用せず、北海道産の小麦を100%使用し、食品添加物を使用しない無添加のパン生地を使った安全・安心な商品づくりにこだわっています。北海道産小麦を使用することにより、海外からの輸送際に大量に発生するCO2に配慮し、フードマイレージ(食品輸送距離)の削減にも取り組んでいます。
また、毎日少量ずつの生産で食品ロスの削減をめざすとともに、いつも焼きたて、できたてのパンの提供を実現。ほかにも水へのこだわりや、揚げ物の衣に吸収される油量を最大50%削減できるフライヤーを導入するなど、お客様の健康に配慮したパンづくりを徹底しています。
パン屋さんは常に有人で運営する必要があります。パン屋さんで収益をしっかり確保することができれば、ランドリーに人件費をかけずに有人対応できるのではないか、と考え収支計画を立てました。
地域には、これまで一度もコインランドリーを使ったことがない、という方もたくさんいらっしゃるはずです。その一つに、使い方がむずかしそう、という理由があると思います。便利そうで使ってみたいけれどむずかしそう、という方のために、当店では有人にて接客対応をさせていただくという営業スタイルを選びました。操作方法やどのサイズの機械に入れたらいいか、どのコースを選べばいいかなどスタッフがアドバイスをすることで、多くのリピートに繋がっていると感じています。
事業の理念を独自に発信して、地域の声も聞いて、育てていく
FCではなくコインランドリーを自身で始めた理由とは?
事業の中で環境問題にアプローチしようとするとき、使う洗剤、柔軟剤といった材料の選定や発信の仕方等については、どこかに加盟してやるとなれば、そこに従わざるを得なくなります。やはり当店なりの考えを発信して、地域の方々の声も聞いて、共感いただける事業に育てていくためには、独自のやり方を取るべきだと思いました。
さまざまなお客様の立場に立つことで、コインランドリーがもつ課題を解決
ペット専用の洗濯乾燥機を付けた理由とは?
無人のコインランドリー等では、本来保健所では禁止されているペット用品の洗濯をしている方が非常に多い実情が、SNSのコメントからも見受けられます。当店のお客様のことを考えると、この問題は最初から解決しておかないといけません。しかし、ペットのものを洗いたいというお客様を排除してしまえば、結局は環境に配慮していないランドリーをご利用になる。これは違うと思い、お店の外にペット用品専用の機械を設けました。ペットのいる方も、そして、アレルギーをお持ちの方、喘息、動物アレルギーといった方にも安心してご利用いただける店舗でありたいと思っています。
たくさんの他メーカーの機種を使ってみて、性能のよさで決定
TOSEIを選んだ理由とは?
機械を選定するにあたっては、各メーカーの機械が置いてあるコインランドリーをかなり多く回って、同じものを洗濯、乾燥してみる、という実験をあちこちでやってみました。結果、TOSEIさんの機械の性能がもっともよいと感じました。また、現金やクレジット、電子決済といった精算方法がいちばん豊富だったということも決め手になったと思います。
悩みをもつ人、困っている人に役に立てるよう多店舗展開も視野に
今後の展開について、お聞かせください。
当店としてはかなり遠方から来ていただいているお客様が増えてきていますので、うちの近くにも出店してほしい、といったご要望もたくさんいただいています。ただ、人が対応する営業スタイルがお客様の安心につながっているので、2店舗目、3店舗目と展開するのが簡単ではないモデルと言えます。しかし追々、悩んでいる方、困っている方々の役に立てるように、多店舗展開をめざしていきたいです。
当店のようなモデルに興味がある他の企業やお店のオーナーさんがいらっしゃれば、いっしょに力を合わせて取り組みたいと思っています。当店のノウハウを活用いただき、地域の方々および社会のニーズに応えられるよう、尽力したいと思います。
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