当初の目的は食材保存
だが今は、あらゆる場面で多用している

保存

2001年、現在の店をオープンする際にトスパックを導入しました。かれこれもう18年使い続けていますね。現在使っているもので二代目です。店を構える以前、ホテルで料理人をしていた頃から真空包装機をはじめスチームコンベクション(スチコン)などの新調理システムと呼ばれる機器に興味はありましたが、なかなか導入の機会がなかったため、自身が店をもつ際にはぜひ取り入れようと決めていました。購入するにあたり、いくつかのメーカーの製品を試し、使い勝手のよさからTOSEIの商品を選びました。
用途は本当にたくさんあります。でも、導入した当初はあくまで、真空にすることで食材の鮮度を保つこと、つまり「保存」目的しか頭にありませんでした。ところが、保存だけではなく調理にも多用できると聞き、「それなら使ってみようか」と調理に取り入れてみたところ、これが非常に便利で。今では、仕込みからお客様に提供する直前の調理まで、あらゆる場面で真空パックが欠かせません。

下ごしらえ、浅漬けや煮付け、
看板メニューにも欠かせないトスパック

真空調理

トスパックを活かして作れる料理はいろいろあります。それこそキュウリの浅漬けのようなちょっとしたものから、メインメニューの肉・魚料理まで、さまざまな料理に真空パックを利用しています。鍋で加熱するには温度管理が難しいもの、煮崩れしてしまうものなど、鍋や釜ではできない料理も真空パックとスチコンを組み合わせ真空調理をすれば可能になります。

例えば、和食に欠かせない生麩や海老の下ごしらえ、カボチャの煮付けなどにも重宝しています。また、当店の看板メニュー「味噌漬けローストビーフ」は、まさにこれらの機器を使ってこそ実現できた料理です。味噌漬けの肉は火で加熱するとどうしても味噌が焦げてしまうのですが、真空パックで噌漬けにして一晩寝かせてから低温調理をすると、風味と味がより引き立ち、味・食感ともに絶品の味噌漬けローストビーフができあがります。もうひとつの看板メニュー「新玉葱の牛そぼろ田楽」も、鍋であれば煮崩れしてしまうところ、真空調理で作るからこそできるのです。

仕込み作業が整然とし、作業効率が格段に上がった

食材ロス

食材の鮮度を保つことができ、漬け込みに優れており、衛生管理がしやすいという真空パックの特徴を活かすことで「計画的な仕込み」が可能になったため、店をまわしていくうえでの効率も格段に上がったと思います。計画的に仕込めるということは、食材ロスを減らすことにもつながります。いわゆる「時短」というよりは、仕込みの作業が整理されてやりやすくなったというほうが正しいかもしれません。以前なら、予約がたくさん入っている前日は夜を徹して仕込みをしなければならないこともありましたが、真空パックを上手に利用すれば、比較的ゆとりのある日に前もって仕込みをしておくことができます。真空調理の工程は決められた手順で正しく行えば熟練の料理人でなくても担うことができるので、人材面も効率的です。

漬け込みに優れているのも魅力。
少量の調味液でスピーディーに味を浸透

味の均一

漬け込みにおいても力を発揮するのが真空パックです。空気を抜くことで味が染み込むというのはそもそも真空パックの利点ですが、とくにトスパックは脱気のパワーが強いので、短時間で食材の中までしっかりと調味液が入ります。鍋たっぷりの煮汁を使って作るのに比べ、真空調理なら3割程度の調味料で味の均一を保持しながら染み込ませることができるため、ムダがないのもいいですね。それぞれの食材や料理で適した空気の抜き具合があるので__98%抜いてしまうのか、70%くらいに抑えるのか、そもそも抜かないで封だけするのがよいのかなど__どの食材でどの程度空気を抜くのがベストであるかは、経験を重ねる中で探っていく必要があります。脱気具合で食感や味の浸透加減が違ってきますから。

真空パックの特徴を活かして、
ハラル対応の和食メニューも導入

ハラル

HACCP

そのほかにも、私が便利だと感じている使い道はたくさんあります。例えばケータリング。真空パックの大きさが大小ありますので、小分けにして仕込んでおけば、必要な分だけを持ち運べます。わざわざ大きな鍋を持っていく必要がないですし、衛生管理の面からも真空パックのほうが安心です。催事に持っていって、場合によっては真空パックのまま販売することもできますよね。商売の可能性が広がっていくわけです。もうひとつ、可能性が広がるという点では、ハラル料理に対応できることも大きいです。当店でもトスパックを利用して、ハラル対応の和食メニューを揃えています。宗教の解釈は多様ですから、すべてのムスリムの方に対応できるハラルというのは難しいのですが、できる限り多くのムスリムのお客様に美味しい和食を味わっていただきたいという思いで、和食界ではかなり早い段階から、真空パックの特徴(食材同士が触れ合うことを避けられる)を活かしたハラル料理を導入しました。近年海外からのお客様が増加し、今後は東京オリンピックも控えている今、多様な人々に提供できるメニューを揃える、HACCPの衛生管理基準に適した衛生管理を行うなど、飲食店ではさまざまな対応が必要になってきています。そういった視点からも、トスパックは非常に有効だと言えるのではないでしょうか。

真空包装機と聞くと「保存」のイメージが強いかもしれませんが、真空パックを活用することは実は、料理の創造性を広げ、商売の可能性を広げ、食の安全の担保にもつながる。当店にとってTOSEIのトスパックは、スチコン、ブラストチラー(急速冷却機)と並んで新調理システムを支える「三種の神器」のうちのひとつ。もはや、なくてはならない存在です。

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